「被爆75年のヒロシマ 祈りとメッセージ」核兵器廃絶への行動を呼びかけます

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2020年8月6日、広島は被爆75年を迎えました。これに先立つ8月5日、核兵器廃絶日本NGO連絡会は「被爆75年にあたり、核兵器廃絶への行動を呼びかけます」と題する声明を発表しました(こちら:日本語および英語)。声明は、同日広島市内で開催された討論会「被爆75年 核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」で与野党の国会議員や日本政府に対して示されました。同夜、NGO連絡会の共同世話人である、田中煕巳・日本原水爆被害者団体協議会代表委員と、川崎哲・NGOピースボート共同代表が、被爆75年にあたっての思いと、この声明に盛り込まれた国内外への呼びかけを、広島の地からメッセージとして発信しました。以下からご覧いただけます。

田中煕巳(日本被団協代表委員) :

川崎哲(ピースボート共同代表/核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員):

KAWASAKI Akira(English)Peace Boat Executive Committee member, ICAN International Steering Group member:

これらの動画は、ANT-Hiroshimaとピースボートが協力して制作したもので、「被爆75年のヒロシマ 祈りとメッセージ」と題して発信される一連のビデオの一部です。これら以外にも多くの動画や写真が、ANT-HiroshimaのSNSアカウントで発信されます。

討論会「被爆75年 核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」レポート



被爆75年となる広島原爆の日の前日である8月5日16時30分から、核兵器廃絶日本NGO連絡会の主催により、政府、国会議員、国連、市民社会の代表者らによる討論会「被爆75年 核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」が、広島市内で行われました。

この討論会には、日本政府よりオンラインで尾身朝子外務大臣政務官、国会より9の政党および会派の代表者、国連から中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表が参加するとともに、市民社会から被爆者とジュネーブからオンラインで核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が参加しました。

新型コロナウィルス感染症対策のため、この討論会は無聴衆行事とされましたが、その模様はオンラインのライブで一般公開され、約2100名の視聴がありました。また、13社の報道関係者の取材を受けるなど、この問題に対する関心の高さを示すものといえます。まずは、ここに重要な発言を紹介いたします(議事録は、後日このサイトで公開いたします。また、会議の映像はYouTubeで視聴可能です)。

討論会は、核兵器廃絶日本NGO連絡会共同世話人である川崎哲ICAN国際運営委員(ピースボート共同代表)の司会で行われました。第1部「現状と課題」では、最初に中満泉国連事務次長が、「安全保障環境は悪化の一途を辿っている、そして質的に非常に複雑になり変化をしている」と指摘したうえで、①安全保障は様々なツールからなり、軍縮はそのツールの1つであるという認識が必要であること、②対話と外交を通じた安全保障への復帰と日本の役割、③延期されたNPT再検討会議の成功への協力、④核兵器禁止条約との関係は日、日本が決めることだが、ドアを閉めることはせず、問題点を完全に共有しているという姿勢を示して欲しい、という4点について意見を述べました。

続いて、尾身朝子外務大臣政務官が発言。まず、「日本は唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードする使命を有しています。これは日本政府の確固たる方針です」と日本の基本姿勢を述べました。そのうえで、国際社会では、核軍縮の進め方を巡る対立があることを指摘したうえで、日本が核兵器国と非核兵器国の橋渡しに務めていくことを確認しました。また、核軍縮にとって被爆の実相への正確な認識が重要性であることを強調し、日本のこれまでの努力を紹介しました。日本のNPTへの具体的な取り組みについても言及しました。

最後に、ベアトリス・フィン事務局長が発言。被爆者による人類のための活動に誇りを持つべきである。核兵器禁止条約により明確な目標が定められている。日本の参画が必要であり、被爆者もそれを求めている。日本が条約に参加することで、一緒に進むことを期待する。パンデミックは、より強固な安全保障が必要であることを示している。賢明な安全保障が必要であり、核兵器を保有することはその反対である。また、核兵器禁止条約には、日米同盟があっても参加できると述べました。

第2部「各政党の立場と取り組み/国会議員より」では、各党からの参加者が発言しました。発言の概要は、以下の通りです。

公明党 山口那津男代表(参議院議員)

広島市内の旧陸軍被服支廠を訪問し、被爆の実相を実感した。2017年に核兵器禁止条約が採択され40カ国が批准した。発効を期待したい。公明党は、核兵器のない世界に向けて国際規範が形成されることを強く望む。核兵器禁止条約は、日本の国是である非核3原則を国際規範にしたもの。しかし、賛成する国と反対する国の溝が深まるばかりでは現実的な意味はない。核兵器国を巻き込んで実質的な核軍縮をすすめることが重要である。

自民党 平口洋被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟事務局長(衆議院議員)

核兵器が実際に使用された時の阿鼻叫喚の様子、(広島では)1発の核兵器で10~15万人が亡くなった。唯一の戦争被爆国として、核兵器の廃絶には誠実に取り組むべきである。現実の問題として核兵器廃絶に最も大切なものはNPTであり、核兵器禁止条約については、やや時期尚早であり、反対という立場をとっている。

立憲民主党 枝野幸男代表(衆議院議員)

現状認識として、冷戦期よりも核戦争の脅威は高まっている。核兵器禁止条約は画期的な条約であるが、核の傘の下にあることを理由に日本政府は反対をしている。アメリカとの同盟を維持しながら条約参加に向けた具体的なロードマップを描く必要がある。どのような条件が整えば、批准に向かうことができるのか国会で議論する必要がある。

国民民主党 玉木雄一郎代表(衆議院議員)

本来であれば、日本は核なき世界に向けて先頭を切り取り組むべきである。しかし、残念ながら日本政府は核兵器禁止条約に後ろ向きである。条約は批准すべきであるが、様々な諸問題も解決していかなければならない。日本は、条約にオブザーバー参加をすべきである。すぐに締約国とならなくても、積極に関与すべきである。ネットの時代になり、特に若い人たちがネットでつながっている。だからこそ、過去起こったことの継承が非常に重要である。

日本維新の会 足立康史国会議員団幹事長代理(衆議院議員)

(核兵器の問題について)日本は何をすべきか国会では議論していない。国際的なアリーナで議論するまえに、日本はどうすべきか国会で議論すべきである。従来の議論では不十分である。ポストNPTの時代、新しい対話の場が必要。例えば、北朝鮮は核兵器を保有すると言っている。だから日本も持つべきだという意見も日本の中にはある。そう言う議論を避けてはいけない。

日本共産党 志位和夫委員長(衆議院議員)

パンデミックは、軍事力とりわけ核兵器が無益であることを示した。核兵器予算を削り、医療に回すべきである。核兵器廃絶には2つの努力が必要である。第1に、核兵器禁止条約の早期発効。それにより核兵器保有国を政治的、道義的に追い詰める。第2に、NPTでの前進を勝ち取る。NPT50周年を記念する共同コミュニケにあるように、核兵器保有国も賛成した誓約の履行を求めるべきだ。被爆75年にあたり政府は従来の態度を改め、核兵器禁止条約にサインすることを強く求める。政府は「黒い雨訴訟」での広島地裁の判決に控訴すべきではない。

社民党   福島みずほ党首(参議院議員)

核兵器禁止条約を批准することを求める。核抑止は幻想に過ぎない。対人地雷、クラスター弾の禁止には、それを保有する国に対して大きな効果があった。核兵器についても、条約の力で影響力を与えるべきだ。世論調査では、日本の72%の人々が核兵器禁止条約への参加に賛成している。核兵器禁止条約は、 被爆75年を迎える日本の政治の責任である。

れいわ新選組 舩後靖彦(参議院議員)

INFの失効、新STARTの延長の問題。核軍縮への努力は停滞している。核兵器禁止条約を発効させていく意義は高まっている。日本は率先して参加すべきだ。日米安保と条約参加は矛盾しない。核兵器禁止条約の批准を、野党の統一公約としてはどうか。我々が直面する脅威は、大国の見栄の張り合いではなく、気候変動、感染症に対する脅威である。

無所属 岡田克也(衆議院議員)

いまは、(核軍縮の)逆流を止めるべきである。日本は拡大核抑止のためにアメリカに何も言えない状況にある。バランスをとった核軍縮は抑止と矛盾しない。大統領選挙の結果によりアメリカの政策は変わりうる。その時に日本はどうするのか。核兵器禁止条約は単純に入れば良いと言うことではないが、大きな方向性は同じであるということを確認すべきだ。

第3部 「討論とまとめ」では、まず、田中煕巳・日本原水爆被害者団体協議会代表委員が発言。被爆を経験して以来、こうした兵器は2度と使われてはならないと思って生きてきた。しかし議論を聞いて、まだまだ壁は厚いと思った。核保有国からは、核兵器は使いたくない。だけど信頼関係がないという話をよく聞く。そうであるならば、まず信頼関係を作るべきである。安全保障は相手が悪いことをしてくることを考えるのではなく、どうやって一緒に良くするかを考えることである。その先頭に日本が立ってほしい

このあと、中満事務次長、尾身外務大臣政務官、フィン事務局長が発言しました。尾身政務官は核兵器禁止条約に言及し、同条約は核兵器国や(核兵器に依存する)非核兵器国からも支持を得ていない。核兵器廃絶には、地道に現実な道筋が適切であり、核兵器禁止条約はこうしたアプローチと異なると言わざるを得ないと述べました。

最後に、司会を努めた川崎共同世話人は、核兵器禁止条約について政府は時期尚早という立場ではあったが、何らかの方向性を示す議論を国会の中で期待したいと述べました。

討論会の動画はこちらです↓

大使館応援ツアー2020 ~めざせ核兵器禁止条約発効~:ツアーを振り返って

3月下旬に2週間にわたり展開してきた「大使館応援ツアー2020」は、7か国の大使館・名誉領事館の訪問を終え、無事に終了しました。訪問が実現したのは、次の7か国です。インドネシア、モンゴル、アルジェリア、ザンビア、ジンバブエ、コモロ、東ティモール(訪問順)。

緑:核兵器禁止条約を批准している国

黄:今回、大使館を訪問した国

今回の訪問では、被爆者が被爆体験を、また学生がそれぞれの思いを伝え、各国に核兵器禁止条約の早期批准を要請しました。各国大使の反応は様々でしたが、この面会の内容を本国に伝え、広島・長崎の苦しみを共感し、核なき世界に向けて尽力する意志を示されました(国別の訪問レポートは、NGO連絡会のホームページに掲載していますので、詳細はそちらをご覧ください)。

遠藤あかり(明治大学4年)と高橋悠太(慶応義塾大学2年)が、この企画の運営を担わせていただきました(両名ともにNGO連絡会事務局スタッフ)。ツアーを終えた、それぞれの感想を記します。

遠藤あかり:核兵器禁止条約への署名や批准の状況については、インターネット等を通して知ることができます。しかし今回、各国大使との対話で感じることができたことは、被爆者の方々の未来への思いを受け止め、核兵器廃絶、平和への積極的な態度をとっていきたいという、それぞれの国で育ち、国の代表として私たちと交流して下さったひとりの「人」の生きた声でした。これは異なるアイデンティティを持つ人々が核兵器廃絶という同じ目標に向かって、ともに平和を目指し協力していくことができるということだと思いました。このような対話を重ねていくことで、核兵器廃絶を実現できるのではないかという期待が持てました。

この活動は、署名や批准に至っていない国へアピールするという政治的な運動の一面を持っています。それと同時に、若者が被爆者と交流しながら、核兵器廃絶などの社会問題について、深く思考していく過程でもありました。このような機会は、若い世代が自ら取り組む学びの場、教育の場になりうるのではないかと考えています。

特に今年は、被爆75年を迎えます。この75という数字はどの世代にとっても、どの国の立場をとっても大きな意味を持っています。私自身、この機会に改めて、核兵器禁止条約、核兵器廃絶について向き合っていきたいと思います。

高橋悠太:「大使館って、行けるんだ。大使って会ってくれるんだ」。参加した学生全員が感じた素朴な発見でした。私も、その1人です。私は、4か国の訪問に携わりましたが、歓迎のスタイルも、話の展開も、それぞれ全く異なります。時には、名産品をご馳走になったり、お土産をいただいたりしました。まるで世界旅行をしているみたい。毎訪問、心からワクワクしていました!

しかし、その「会ってくれる」の最大の要因は、被爆者の方々がおられたことに他なりません。各国大使館で、被爆者の方々から憎しみを超えた、平和へのメッセージが発されました。それは大使の胸に深く刻まれ、本国にも通達されたと確信しています。
さらに今回、核廃絶のためにアクションを起こそうとする同世代の頼もしい仲間ともたくさん出会うことができました。彼らの熱意に触れ、私の活動へのモチベーションも上がりました。

しかし、今回訪問したのは、「まだ」7か国です。訪問できた大使館とも連携を取りつつ、さらに多くの国に核兵器廃絶へのメッセージを届けたいと思います。

427日、オンラインで大使館応援ツアーの報告会を開催しました。

このツアーに参加した9名の高校生・大学生と4名の被爆者、川崎哲ICAN国際運営委員らが感想を発言しました。約60名に、ご参加をいただきました。 

被爆者の方々からは、「私たちの反核・平和の思いを各国に届けることができた。核兵器禁止条約は、残り14か国の批准をもって発効される。1日も早く、それを実現するために、平和への訴えを続けていく。また、若者が頑張ってくれていて本当に嬉しい。頼もしく思った」などの、コメントをいただきました。

学生からは、各国の核兵器禁止条約に関する状況、大使館訪問を経験して自分と社会にどんな変化があったのかについて報告がありました。それぞれが、今回の経験をどう社会に還元し、核兵器廃絶のためのアクションにどのように生かすのかを真剣に考え、情熱的に決意を述べてくれました。彼らの力強いコメントの一部をご紹介いたします。

「このツアーに関する私のSNSでの投稿を見た友人からもリアクションがあった。多くの人が、核兵器の問題に興味を持つきっかけになってほしい。」

「面会時、『私は、日本の禁止条約参加のために努力をするから、大使もあなたの国が署名・批准するように尽力してほしい』と訴えた。平和への約束を交わしているようだった。」

「国の大小は関係なく、核廃絶へどの国も尽力することが大事だと感じた。」

「政府・政策に直接アプローチをすることを体験できて面白かった。同様の働きかけをどんどんやってみたい。いや、やっていかないといけない。こういう取り組みを通して、私たちは世界を変えられる。」

新型コロナウイルスの拡大を受け、訪問が直前にキャンセルになった国もいくつかありました。状況を見つつ、今後の展開を考えていきたいと思います。

結びに、一緒に大使館を訪問してくださった被爆者の方々や学生、運営に携わってくださった仲間、受け入れてくださった大使館関係者の皆さま、そして、このプロジェクトにご賛同いただきNGO連絡会のブログやSNSなどに関心を寄せてくださったすべての皆さまに心から感謝と敬意を表します。本当にありがとうございました。

(遠藤あかり・高橋悠太)

「大使館応援ツアー 2020」オンライン報告会を行います


3月後半、核兵器廃絶日本NGO連絡会は、
核兵器禁止条約への批准を求め、被爆者や若者が在京大使館を訪問する取り組みを行いました。最終的に7か国の訪問が実現しました。(訪問順に、インドネシア、モンゴル、アルジェリア、ザンビア、ジンバブエ、コモロ連合、東ティモール。)

 

このツアーには有志メンバーとして、約10人の高校生・大学生が加わっていました。彼らが、面会した大使らとどのような対話をし、何を学んだのか。そして、その経験を通して、核兵器禁止条約の早期発効と、核兵器のない世界の実現のために、今何ができるのか。それをみなさんに共有するため、ツアー報告会をオンラインで開催します!

参加された被爆者のみなさんにも、感想をお話しいただきます。

なお、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員にも登壇いただきます。*このイベントは、どなたでもご参加可能です。


オンライン報告会概要
日時:4月27日(月) 17:00~19:00
方法:オンライン(zoom使用)*PC・スマホなどにzoomアプリのダウンロードをお願いします。
主催:遠藤あかり、高橋悠太(連絡会事務局スタッフ)
協力:核兵器廃絶日本NGO連絡会
お問い合わせ:nuclear.abolition.japan@gmail.com
         090-6577-4119(高橋携帯)

こちらから、前日までに事前申し込みをお願いします。(イベント開始までに、zoomの参加用URLをお送りします)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe-3DNYlOo1Kb9Wn9ROxl5HHCiBdxHyWdV-Dk9Cgz99O3VN9w/viewform

報告者プロフィール
〇遠藤あかり
明治大学法学部4年
核兵器廃絶日本NGO連絡会 事務局スタッフ

〇高橋悠太
慶応義塾大学法学部2年
核兵器廃絶日本NGO連絡会 事務局スタッフ / 「カクワカ広島」共同代表

〇その他、ツアーに関わった高校生・大学生

〇一緒に訪問した被爆者のみなさん

〇川崎哲
核兵器廃絶日本NGO連絡会 共同世話人
ピースボート共同代表 / ICAN国際運営委員


大使館応援ツアー2020 ~めざせ核兵器禁止条約発効~とは
https://nuclearabolitionjpn.wordpress.com/2020/03/01/embassy_visit_2020_tpnw/
*各国の訪問レポートも上記ページからご覧いただけます。


核兵器禁止条約の現状
核兵器禁止条約の発効には50カ国の批准が必要ですが、4月9日現在で36カ国が批准を済ませ、あと14カ国というところまで来ました。(先月20日にナミビア共和国が36カ国目の批准国となりました。)

大使館応援ツアー2020レポート:東ティモール大使館(7ヵ国目)

3月27日午後、東京都千代田区にある駐日東ティモール民主共和国大使館を、大学生など4名で訪問いたしました(新型コロナウィルスの感染拡大により、被爆者の方には大事をとってご遠慮いただきました)。

東ティモールは、国土全体が南半球に位置するアジアで唯一の国であり、2002年にインドネシアから独立しました。核兵器禁止条約の交渉会議に参加し、採択に賛成しました。翌年(2018年)の核兵器廃絶国際デー(9月26日)の日に署名しましたが、まだ批准はしていません。

迎えて下さったのは、着任したばかりのイリディオ・シメネス・ダ・コスタ(ILIDIO Ximenes da Costa)大使です。まず、長崎出身の中村涼香さん(上智大学)が被爆者である祖母のことを語りました。また、被爆者の方々の苦しみが一人一人異なるものであり、だからこそ、それぞれの悲しみや抱えてきた痛みを丁寧に次世代に共有していきたいと決意を述べました。そのうえで、核兵器禁止条約は被爆者にとって大きな光であり、一刻も早く発効するために東ティモールにも批准してほしいと要請しました。これに対して、大使は「批准には時間がかかるだろうが、今日のことを本国の政府に伝え、プッシュすることを約束する」とお話下さいました。

また、私からは、先月参加した「ICANパリフォーラム」など、核兵器廃絶のために行っている活動を紹介しました。大使は非常に関心を寄せ、幼い頃に戦争でお父様を亡くされた経験を語られ、「広島・長崎と同じように東ティモールも争いで多くの苦しみを負ってきた。真剣に平和を追求していきたい。両地も訪れたい」とおっしゃいました。東ティモールでは、独立に至るまでに多くの市民の命が失われており、その記憶を持つ大使の言葉には、平和への強い思いが感じられました。最後に、「悲しく悪い歴史から目を背けず、過去に学ぶべきであると思っている。一緒に未来のために動いていこう」とのお言葉を頂きました。また、大使は、ICANのバッジも付けてくださいました。これからも、しっかりと知識をつけた上で、若者として積極的にactionを起こしていきたいと思いました。

2週間にわたり展開してきました「大使館応援ツアー2020 ~めざせ核兵器禁止条約発効~」は、これが最後の大使館訪問となりました。受け入れてくださった大使館関係者の皆様、このプロジェクトにご賛同いただき、NGO連絡会のブログやSNSなどに関心を寄せてくださった皆様に心から感謝いたします。

(立教大学 布川仁美)

大使館応援ツアー2020レポート:コモロ連合名誉領事館(6ヵ国目)

3月26日午後、東京都港区にある在東京コモロ連合名誉領事館を被爆者の田中煕巳さん(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)と濱住治郎さん(同事務局次長)、大学生など6名で訪問しました。コモロ連合は、アフリカ大陸とマダガスカルの間に位置する複数の小さな島々で構成される国で、日本に大使館を置くかわりにSTEMCELL株式会社の代表取締役の松岡孝明さんが名誉領事として就任し、その役割を担っています

コモロ連合は核兵器禁止条約の採択時には欠席しましたが、その後、即座に署名(2017年9月20日)しました。しかし、まだ批准には至っておりません。

今回は、STEMCELL株式会社の社員でフランス人のアルノ・ルシャ(Arnaud Lechat)名誉領事館総務部長が対応して下さいました。彼は、一刻も早く核兵器を廃絶する必要があるとして、核兵器禁止条約の批准を求める被爆者の話を真摯に受け止められていました。また、3月20日にナミビアがオンラインで核兵器禁止条約を批准したことにも強い関心を示され、本国の外務大臣に積極的にアプローチすることを表明されました。

対応してくださったルシャさんは、日常的に外務大臣らとコンタクトをとられているそうで、首都モロニとの情報共有の体制が整っていることから批准に向けた大きな可能性があると感じました。被爆者の方々が願う核兵器禁止条約の発効を、1日でも早く実現するために行動し続けたいと思いました。

(上智大学 中村涼香)

大使館応援ツアー2020レポート:ジンバブエ大使館(5ヵ国目)

326日午前、東京都港区にある駐日ジンバブエ共和国大使館を、長崎の被爆者の田中熙巳さん(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)、広島の被爆者の濱住治郎さん(同事務局次長) 、大学生、通訳の5名で訪問いたしました。ジンバブエは壮大な風景と様々な野生生物で知られるアフリカ南部の内陸国で、南アフリカと国境を接しています。

ジンバブエは、核兵器禁止条約の採択には賛成したものの、署名、批准には至っておりません。

今回お会いしたタイタス・メリスワ・ジョナサン・アブ-バスツ(Titus Mehliswa Jonathan ABU-BASUTU)大使は、長崎や広島を訪問されたこともあり、核兵器の恐ろしさや核兵器がもたらす影響について、被爆者の方々の話を真摯に聞いてくださいました。大使はかつて軍隊に所属されていたこともあり、核兵器の危険性を深く理解しているとおっしゃっていました。そして、ジンバブエとしても条約に署名、批准の可能性があること、これからも条約発効のために協力していきたいと前向きな姿勢で話されました。

大使は新型コロナウイルスの拡大を挙げ、「医者や医療が充実している環境でもこれほどの苦しみをもたらし、救われない命がたくさんある。『人類の苦しみ』という点で、私にとっては、核兵器とコロナウイルスは似ている」と話されていました。

最後に大使は、「私達が、ジンバブエと日本の懸け橋になれたら」ともおっしゃっていました。その温かい言葉に心を動かされました。新型コロナウイルスの拡大から、世界中で毎日たくさんの命が奪われ、苦しみが広がっています。そのような状況だからこそ、今、私達一人一人に何が出来るのか、そして何をすべきなのかを深く考えさせられる貴重な訪問になりました。

(明治大学 前島芳美)

大使館応援ツアー2020レポート:ザンビア大使館(4ヵ国目)

3月18日午前、東京都品川区にある駐日ザンビア共和国大使館を訪問しました。

ザンビアはアフリカ南部の内陸国で、豊かな自然と多数の銅鉱山があり、アフリカで最も平和な国の1つとも称されています。

ザンビアは、核兵器禁止条約の採択時には交渉会議を欠席しましたが、2019年9月26日、国連が定めた「核兵器の全面的廃絶ための国際デー」(9月26日)の日に署名しました。しかし、批准には至っていません。

当日は、ジム・シニェンザ(Jim SINYINZA)公使参事官、スタンリー・ムウォウォ(Stanley MUOWO)一等書記官、パスモア・マドゥーラ・パーシィ(Pasmore Madula PASI)大佐とお話を致しました。

被爆者の児玉三智子さん(日本原水爆被害者団体協議会事務局次長)が、時に涙ぐみながらご自身の経験を語られました。大使館の皆さんは、真剣な眼差しで、頷きながら、時に顔を歪めながら聞いておられました。そして、2017年に条約が採択されてから署名にこぎ着けた2年の間に、ザンビア国内でこの条約や核兵器の非人道性への理解が広まったことに言及。手続きなど時間はかかるが、現在も批准に向けて動いており、本日の来訪や外務大臣宛の手紙も必ず本国に伝え、届けることなどをお話して下さいました。終始あたたかく友好的な雰囲気で、あっという間の1時間が笑顔で終わりました。

自分にとっては遠いアフリカの国でしかなかったザンビアですが、実際にお会いしてお話ができたことで、核なき世界に向けて一緒に協力していく国という実感を持つことができるようになりました。

この取り組みの期間中にうれしいニュースがありました。3月20日にナミビア共和国による核兵器禁止条約の批准です(署名は2017年12月8日)。これにより、条約発効まであと14カ国となりました。

(お茶の水女子大学  内藤百合子)

 

大使館応援ツアー2020レポート:アルジェリア大使館(3ヵ国目)

3月17日午前、大使館応援ツアー2020の3カ国目として、東京都目黒区にある駐日アルジェリア民主人民共和国大使館に訪問して参りました。

アルジェリアはアフリカ大陸の北に位置しており、地中海に面している国です。核兵器禁止条約の交渉会議では条約の採択に賛成し、2017年9月20日に署名しましたが、まだ批准には至っていません。

迎えてくださったのは、モハメッド・エル・アミン・ベンシェリフ (Mohamed El Amine BENCHERIF) 大使、ダラル・ソルタニ公使、ラクハル・アイドゥリ一等書記官です。

大使が、被爆者の和田征子さん(日本原水爆被害者団体協議会事務局次長)のお話に熱心に耳を傾けていらしたのが、とても印象に残りました。アルジェリアは、フランスの核実験の被害を受けたこともあり(アルジェリアのサハラ砂漠では、かつてフランスが核実験を行っていました)、核兵器禁止条約の批准には非常に前向きに考えていらっしゃいました。

対談時間を多く取ってくださり、紹介した「高校生一万人署名活動」についても「核兵器や平和の問題に、若い世代が関心を持ってくれて嬉しい」などのお言葉を頂き、励まされました。また、大使の日本の市民社会と一緒にこの問題に取り組んでいきたいという姿勢が印象的で、今後の活動により一層取り組んでいく意欲を新たにすることができました。

(山崎学園富士見高校 本間のどか)

 

大使館応援ツアー2020レポート:モンゴル大使館(2ヵ国目)

3月16日午後、大使館応援ツアー2020の2カ国目として東京都渋谷区にある駐日モンゴル国大使館を、被爆者の田中熙巳さんと田中稔子さん、大学生、高校生の7名で訪問しました。

モンゴルは、1992年に自国を非核兵器地帯とする宣言を行うなど核兵器廃絶に理解ある国です。核兵器禁止条約の交渉会議では採択に賛成しましたが、まだ署名と批准はしておりません。

今回お会いしたのは、ダンバダルジャー・バッチジャルガル(Dambadarjaa BATJARGAR)大使。広島、長崎を何度も訪問された大使は、一瞬にして多くの人の命を奪う核兵器の恐ろしさについて語って下さいました。

核兵器禁止条約に関しては、「この条約が大切なことはよく理解しているし、賛成である。紙の上だけではなく、国々が責任をもって守れる条約にしていきたいと思っている」と話されました。

「たった一つしかないこの世界を大切にしたい」と日本語で優しく語られる姿から、大使の平和に対する強い意志を感じ、核兵器禁止条約への賛同要請のために訪問した私たちの方が勇気を頂く時間でした。たった一つの魅力的な地球の中で、たった一つの命を大切にしたい、そんな当たり前のことを改めて考えさせられました。

(立教大学 布川仁美)