あらゆる核兵器使用の威嚇を非難する――13カ国の国会議員による公開書簡

ロシアが核兵器使用の威嚇を強める中、これを非難し、こうした核兵器による脅しの言動を「当たり前」のことにしてはいけないと、13カ国42名の国会議員が共同書簡を発表しました。2022年11月4日、英語原文がEuracvtiv にて発表(https://www.euractiv.com/section/defence-and-security/opinion/we-must-condemn-any-and-all-threats-to-use-nuclear-weapons/)されたものの日本語訳を以下に紹介します。

あらゆる核兵器使用の威嚇を非難する
We must condemn any and all threat to use nuclear weapons

私たち13カ国の国会議員は、先日のロシアによる「わが国の領土の一体性が脅かされた場合には、ロシアとロシア国民を守るために」核兵器を使用するという威嚇に恐れを抱き、また、愕然としています。

ロシアはこれまでもウクライナにおける紛争に介入する者があればそれに対して核兵器を使用するとの威嚇をしてきました。しかし、今回の威嚇は格段に具体的なものです。現在支配下に置いている地域を不法に併合しようとしているロシアの企てとも併せて考えると、これはとりわけ憂慮すべきです。私たちはこの核兵器使用の威嚇を非難し、ロシア政府に対してこの威嚇を直ちに撤回するよう求めます。

同時に、私たちは他国政府がこのロシアの言動に対して、核兵器による報復の可能性をほのめかす反応を示していることにも強い懸念を抱いています。ウクライナ戦争で核兵器が使用された場合のシナリオを検討したり、その軍事的影響を評価したりする抽象的な論評や分析がなされていることに対しても同様です。

このような動きは、核兵器が使用されるリスクを劇的に高めています。核兵器を使用するという考えがあたかも当たり前かのように語られ、何十年にもわたって保たれてきた核兵器使用のタブーが破られかけています。核の脅威が高まり憶測が蔓延することは、国際的な核不拡散体制をも危うくします。これまで核に依存していなかった国も核兵器を入手することや核兵器保有国との同盟に加わることを考えるようになるからです。これらのことはすべて極めて危険であり、国際社会の緊急かつ断固とした対応を要します。

私たちは第一に、各国政府と市民に、現在のこの状況が何を意味しているのか――つまり核兵器が一発でも使われたら実際に何が起きるか――を改めて思い起こさせなければなりません。特にヨーロッパのように人口密度が高い地域で核兵器が使われた場合、広範囲にわたって壊滅的な人道上の被害をもたらします。

この被害を考えれば、核兵器を純粋に軍事戦略や戦術の観点から論じることはできないし、するべきではありません。ロシアがウクライナ戦争で使用するかもしれないといわれている、いわゆる「戦術」核兵器であっても、その威力は10~100キロトンと言われています。1945年に広島を壊滅させ、14万人の命を奪った原子爆弾の威力はわずか16キロトンでした。

たった一度の核爆発であっても、数十万人規模で市民の命が奪われ、さらに多くの負傷者を生むことは間違いありません。また、放射性降下物は、複数の国にわたって広範に汚染をもたらすでしょう。これまで国連機関や赤十字国際委員会は長年にわたって研究や分析を続けてきましたが、核兵器が使用された場合に効果的な人道支援は提供しえないという結論は一貫しています。

医療も緊急対応体制も崩壊し、死傷者の数はさらに膨れ上がると予想されます。パニックが広がれば、行き場を求めて大量に人が移動するだけでなく、深刻な経済的混乱にもつながります。核爆発が複数あった場合には、事態は当然さらに悲惨なものとなります。

私たちは国会議員として、私たちが代表する人々が核兵器に内在する破滅的なリスクを十分に理解していることが極めて重要だと考えます。人々が政府にきちんと責任を問い、然るべき行動を促せるようにするためにも、事実に基づく情報やデータが必要不可欠です。

第二に、私たちは、核兵器を使用するというあらゆる威嚇を、一貫して例外なく非難しなければなりません。

核兵器の使用が広範囲に被害をもたらすことを考えれば、どこか一国に対する威嚇であっても、それはすべての国に対する威嚇にほかなりません。すなわちこれはロシアとウクライナだけの問題ではないのです。気候変動やパンデミックと同じように、核兵器がもたらす恐ろしい危険は地球規模の問題です。
したがって、国際社会として協調した対応が求められています。

国際社会が核の威嚇に対して一貫性のある明確な非難をしていくことは、核の威嚇という行為に悪の烙印を押し、その正当性を失わせることにつながります。それはまた、核兵器の使用は許されないという規範を取り戻し、強化し、さらには核不拡散の取り組みを強固にしていくことにもなります。

今年の6月、核兵器禁止条約の締約国は、「明⽰的であろうと黙示的であろうと、またいかなる状況下であろうと、あらゆる核の威嚇」を明確に非難する宣言を採択しました。

私たちは、すべての政府に対し、直ちにこれと同じような断固たる非難を行い、今後核兵器を使用する脅威があった場合には、迅速かつ毅然とした対応をすることを求めます。

署名:
13カ国から42名の国会議員(署名者リストはこちら
日本からは以下の4名(姓のアルファベット順)

源馬謙太郎 衆議院議員(立憲民主党)
笠井亮 衆議院議員(日本共産党)
櫛渕万里 衆議院議員(れいわ新選組)
谷合正明 参議院議員(公明党)
日本語訳のPDF版はこちら

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あらゆる核兵器使用の威嚇を非難する――13カ国の国会議員による公開書簡」への1件のフィードバック

  1. 私もこの書簡に賛成です。
    私は国連軍縮会議日本政府常駐代表部の小笠原特命全権大使宛てに国連憲章第2条第4項に次の文章を追加する様に意見書として、提出しています。
    「また、国際条約により開発、製造、備蓄、移転及び使用が禁止されている兵器を保有することは、威嚇とみなされるために、平時及び戦時下でも、国際人道法の原則及び環境保護の原則により、当該条約が批准されているか否かにかかわらず、すべての加盟国は、その兵器を保有することは禁止されなければならない。」

    和文のものを10/30にを英文のものを本日、送っています。

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