討論会「被爆75年 核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」レポート


被爆75年となる広島原爆の日の前日である8月5日16時30分から、核兵器廃絶日本NGO連絡会の主催により、政府、国会議員、国連、市民社会の代表者らによる討論会「被爆75年 核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」が、広島市内で行われました。

この討論会には、日本政府よりオンラインで尾身朝子外務大臣政務官、国会より9の政党および会派の代表者、国連から中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表が参加するとともに、市民社会から被爆者とジュネーブからオンラインで核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が参加しました。

新型コロナウィルス感染症対策のため、この討論会は無聴衆行事とされましたが、その模様はオンラインのライブで一般公開され、約2100名の視聴がありました。また、13社の報道関係者の取材を受けるなど、この問題に対する関心の高さを示すものといえます。まずは、ここに重要な発言を紹介いたします(議事録は、後日このサイトで公開いたします(こちら)。また、会議の映像はYouTubeで視聴可能です)。

討論会は、核兵器廃絶日本NGO連絡会共同世話人である川崎哲ICAN国際運営委員(ピースボート共同代表)の司会で行われました。第1部「現状と課題」では、最初に中満泉国連事務次長が、「安全保障環境は悪化の一途を辿っている、そして質的に非常に複雑になり変化をしている」と指摘したうえで、①安全保障は様々なツールからなり、軍縮はそのツールの1つであるという認識が必要であること、②対話と外交を通じた安全保障への復帰と日本の役割、③延期されたNPT再検討会議の成功への協力、④核兵器禁止条約との関係は日、日本が決めることだが、ドアを閉めることはせず、問題点を完全に共有しているという姿勢を示して欲しい、という4点について意見を述べました。

続いて、尾身朝子外務大臣政務官が発言。まず、「日本は唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードする使命を有しています。これは日本政府の確固たる方針です」と日本の基本姿勢を述べました。そのうえで、国際社会では、核軍縮の進め方を巡る対立があることを指摘したうえで、日本が核兵器国と非核兵器国の橋渡しに務めていくことを確認しました。また、核軍縮にとって被爆の実相への正確な認識が重要性であることを強調し、日本のこれまでの努力を紹介しました。日本のNPTへの具体的な取り組みについても言及しました。

最後に、ベアトリス・フィン事務局長が発言。被爆者による人類のための活動に誇りを持つべきである。核兵器禁止条約により明確な目標が定められている。日本の参画が必要であり、被爆者もそれを求めている。日本が条約に参加することで、一緒に進むことを期待する。パンデミックは、より強固な安全保障が必要であることを示している。賢明な安全保障が必要であり、核兵器を保有することはその反対である。また、核兵器禁止条約には、日米同盟があっても参加できると述べました。

第2部「各政党の立場と取り組み/国会議員より」では、各党からの参加者が発言しました。発言の概要は、以下の通りです。

公明党 山口那津男代表(参議院議員)

広島市内の旧陸軍被服支廠を訪問し、被爆の実相を実感した。2017年に核兵器禁止条約が採択され40カ国が批准した。発効を期待したい。公明党は、核兵器のない世界に向けて国際規範が形成されることを強く望む。核兵器禁止条約は、日本の国是である非核3原則を国際規範にしたもの。しかし、賛成する国と反対する国の溝が深まるばかりでは現実的な意味はない。核兵器国を巻き込んで実質的な核軍縮をすすめることが重要である。

自民党 平口洋被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟事務局長(衆議院議員)

核兵器が実際に使用された時の阿鼻叫喚の様子、(広島では)1発の核兵器で10~15万人が亡くなった。唯一の戦争被爆国として、核兵器の廃絶には誠実に取り組むべきである。現実の問題として核兵器廃絶に最も大切なものはNPTであり、核兵器禁止条約については、やや時期尚早であり、反対という立場をとっている。

立憲民主党 枝野幸男代表(衆議院議員)

現状認識として、冷戦期よりも核戦争の脅威は高まっている。核兵器禁止条約は画期的な条約であるが、核の傘の下にあることを理由に日本政府は反対をしている。アメリカとの同盟を維持しながら条約参加に向けた具体的なロードマップを描く必要がある。どのような条件が整えば、批准に向かうことができるのか国会で議論する必要がある。

国民民主党 玉木雄一郎代表(衆議院議員)

本来であれば、日本は核なき世界に向けて先頭を切り取り組むべきである。しかし、残念ながら日本政府は核兵器禁止条約に後ろ向きである。条約は批准すべきであるが、様々な諸問題も解決していかなければならない。日本は、条約にオブザーバー参加をすべきである。すぐに締約国とならなくても、積極に関与すべきである。ネットの時代になり、特に若い人たちがネットでつながっている。だからこそ、過去起こったことの継承が非常に重要である。

日本維新の会 足立康史国会議員団幹事長代理(衆議院議員)

(核兵器の問題について)日本は何をすべきか国会では議論していない。国際的なアリーナで議論するまえに、日本はどうすべきか国会で議論すべきである。従来の議論では不十分である。ポストNPTの時代、新しい対話の場が必要。例えば、北朝鮮は核兵器を保有すると言っている。だから日本も持つべきだという意見も日本の中にはある。そう言う議論を避けてはいけない。

日本共産党 志位和夫委員長(衆議院議員)

パンデミックは、軍事力とりわけ核兵器が無益であることを示した。核兵器予算を削り、医療に回すべきである。核兵器廃絶には2つの努力が必要である。第1に、核兵器禁止条約の早期発効。それにより核兵器保有国を政治的、道義的に追い詰める。第2に、NPTでの前進を勝ち取る。NPT50周年を記念する共同コミュニケにあるように、核兵器保有国も賛成した誓約の履行を求めるべきだ。被爆75年にあたり政府は従来の態度を改め、核兵器禁止条約にサインすることを強く求める。政府は「黒い雨訴訟」での広島地裁の判決に控訴すべきではない。

社民党   福島みずほ党首(参議院議員)

核兵器禁止条約を批准することを求める。核抑止は幻想に過ぎない。対人地雷、クラスター弾の禁止には、それを保有する国に対して大きな効果があった。核兵器についても、条約の力で影響力を与えるべきだ。世論調査では、日本の72%の人々が核兵器禁止条約への参加に賛成している。核兵器禁止条約は、 被爆75年を迎える日本の政治の責任である。

れいわ新選組 舩後靖彦(参議院議員)

INFの失効、新STARTの延長の問題。核軍縮への努力は停滞している。核兵器禁止条約を発効させていく意義は高まっている。日本は率先して参加すべきだ。日米安保と条約参加は矛盾しない。核兵器禁止条約の批准を、野党の統一公約としてはどうか。我々が直面する脅威は、大国の見栄の張り合いではなく、気候変動、感染症に対する脅威である。

無所属 岡田克也(衆議院議員)

いまは、(核軍縮の)逆流を止めるべきである。日本は拡大核抑止のためにアメリカに何も言えない状況にある。バランスをとった核軍縮は抑止と矛盾しない。大統領選挙の結果によりアメリカの政策は変わりうる。その時に日本はどうするのか。核兵器禁止条約は単純に入れば良いと言うことではないが、大きな方向性は同じであるということを確認すべきだ。

第3部 「討論とまとめ」では、まず、田中煕巳・日本原水爆被害者団体協議会代表委員が発言。被爆を経験して以来、こうした兵器は2度と使われてはならないと思って生きてきた。しかし議論を聞いて、まだまだ壁は厚いと思った。核保有国からは、核兵器は使いたくない。だけど信頼関係がないという話をよく聞く。そうであるならば、まず信頼関係を作るべきである。安全保障は相手が悪いことをしてくることを考えるのではなく、どうやって一緒に良くするかを考えることである。その先頭に日本が立ってほしいと述べました。

このあと、中満事務次長、尾身外務大臣政務官、フィン事務局長が発言しました。尾身政務官は核兵器禁止条約に言及し、同条約は核兵器国や(核兵器に依存する)非核兵器国からも支持を得ていない。核兵器廃絶には、地道に現実な道筋が適切であり、核兵器禁止条約はこうしたアプローチと異なると言わざるを得ないと述べました。

最後に、司会を努めた川崎共同世話人は、核兵器禁止条約について政府は時期尚早という立場ではあったが、何らかの方向性を示す議論を国会の中で期待したいと述べました。

討論会の動画はこちらです↓

議事録はこちらです。

各政党によるレポート

公明党

https://www.komei.or.jp/komeinews/p116328/

立憲民主党

https://cdp-japan.jp/news/20200805_3297

https://cdp-japan.jp/english/news/20200811_3311(英語)
国民民主党

https://www.dpfp.or.jp/article/203220
日本維新の会(足立康史国会議員団幹事長代理(衆議院議員)公式YouTubeチャンネル)

共産党

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-08-06/2020080601_01_1.html
社民党(福島みずほ党首(参議院議員)公式Twitter)

れいわ新選組 (舩後靖彦(参議院議員)公式ウェブサイト)

https://yasuhiko-funago.jp/page-200806/?fbclid=IwAR1GFaaOEt9Fi9a3c_61D6V6JlB-851InzK0cMifn2bFrq4tuEzBbzmMpGQ
無所属 (岡田克也(衆議院議員)公式ウェブサイト)

http://www.katsuya.net/topics/article-8509.html

メディアの報道

NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200806/k10012553161000.html

中国新聞

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=99953

中日新聞

https://www.chunichi.co.jp/article/100493/

東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/47388

毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20200806/ddn/041/010/019000c

朝日新聞

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14581407.html

機関紙連合通信社

https://www.rengo-news-agency.com/核兵器禁止条約の国会論議を-ngo団体が企画-与野党代表交え討論/

 

討論会「被爆75年 核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」レポート」への1件のフィードバック

  1. 時宜を得たとても良い企画、多くの参加者が率直な発言をされていて大変良かった。
    当日の視聴者の参加が思ったより少なかったが、河合氏の要約を含めたこの連絡会の報告を精一杯拡散したい。私が連絡した数十人の方からは、わずか1人だけの感想回答があっただけでした。
    今日は原爆が投下された日、アドレスのわかる知人全部へ、もう一度知らせようと思います。

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