NY報告② 核兵器禁止条約交渉第2会期2日目――前文と一般的義務

ヒバクシャ国際署名をホワイト議長と中満上級代表に手渡す日本被団協の和田征子さん

交渉会議2日目のレポートは、ピースデポの山口大輔さんからです。
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6月16日、交渉第2会期第2日目が始まった。今日は前日途中で終わった前文第7段落から再開され、最後は第1条の検討で終わった。検討された前文、条文に対する各国の意見を紹介します。

前文第7段落以降
(前文第7段落)
前日南アフリカが提案した国連憲章を参照し、核兵器による威嚇を禁じたことにインドネシア、パレスチナが賛意を示した。

前日キューバが提案した1946年の国連総会決議第1号とそれに引き続いた核兵器廃絶を要求する決議を想起することにインドネシア、エクアドル、タイが賛意を示した。

インドネシアが核抑止の非合法化を提案し、エクアドル、タイが賛意を示した。

(前文第12段落)
キューバは「確認し」という単語を「再確認し」に変更するよう提案した。この義務は1996年ICJ勧告で満場一致で確認されているという理由である。ニュージーランド、エクアドル、パレスチナが賛意を示した。

(前文第13段落)
「核兵器のない世界」を加える提案にインドネシア、南アフリカ、パレスチナが賛意を示した。

(前文第14段落)
議長から既存の対人地雷禁止条約などに使われている文言を使用したと説明があった。

キューバから努力を続けているのは列挙されている団体だけに限定しないよう提案があった。エジプト、タイ、ベネズエラ、オーストリア、メキシコが賛意を示した。

ナイジェリアが「人類の生き残り」の要請を提案した。タイが賛意を示した。

アイルランドは平和教育を追加するよう提案した。バチカン市国、ブラジル、ベネズエラ、オーストリア、メキシコ、インドネシア、イランから、つまり広範な賛同を得た。

赤十字国際委員会から核実験被害者の努力の追加が提案された。オーストリアが賛意を示した。

アルジェリア、ブラジル、キューバ、メキシコ、イラン、ベネズエラから原子力の平和的利用への支持が示された。

前文全体に対してリード国ブラジルが条約の早期採択を意識してか、条約の前文を拡大させることなく最小化する、複雑にしない、他の条約を参照しないよう釘を刺した。同じくリード国の南アフリカも同趣旨の発言を行った。

ヒバクシャ国際署名提出
昼休みに入った午後1時過ぎに被爆者の方々からホワイト議長と中満軍縮上級代表に約300万筆の被爆者国際署名の目録が手渡された。日本からのメディア、参加者が議場前方に集結し、大きなセレモニーとなった。被爆者の箕牧さんからは「13時間かけて署名を渡しに来た甲斐があった」、和田さんからは「ホワイト議長の手による『心優しい』条約草案である」という言葉があった。明日午後の女性の行進終了時にもホワイト議長と中満上級代表の代理の方に再度手渡される予定です。

午後に入り、第14段落の検討が少し続いた後、NGO発言が行われた。その後第1条の検討に入った。
第1条
1.(a) キューバが開発、配備、整備、核兵器の近代化、輸送の禁止の追加を提案した。エクアドル、チリが賛意を示した。エジプトは近代化のみ賛成。

スウェーデンが検証の追加を提案した。

スイスが他の条約にもみられる保持の禁止の追加を提案。

1.(d) オーストリアは威嚇の禁止の追加は不要とした。 スイスが1.(a)を守っていれば威嚇することは難しいので賛意を示した。いっぽうインドネシアは威嚇の禁止の追加を提案した。キューバ、カザフスタン、ブラジル、エクアドル、フィリピン、チリ、エジプト、ウガンダ、ベトナム、ナイジェリア、モザンビーク、エクアドル、バングラディシュ、シンガポール、アルジェリアが賛意を示した。

1.(e) キューバが未臨界実験の禁止を提案した。ベトナムとシンガポールが賛意を示した。ブラジルはこれに懸念を示した。

スウェーデンはCTBTを損ねるとしてこの項の削除を提案した。メキシコが賛同。

追加条項
カザフスタンは研究への投資の禁止を提案した。エクアドル、フィリピン、エジプトが賛意を示した。オーストリアは検証性がなく、条約の信頼を損ねるとして反対した。イラン、スイスは投資の定義を行うことを提案した。
エクアドルは批准国国内での法制化の追加を提案した。
インドネシアが軍事的準備行為の追加を提案した。ウガンダ、ベトナム、ベネズエラ、バングラディシュ、赤十字国際委員会が賛意。
スウェーデンは核の平和利用を妨げないことを追加するよう提案。

いわゆるリード国でない国(キューバ、エクアドル、エジプト、インドネシア、イランなど)が自分たちの意見を少しでも取り入れさせようと努力している印象を受けた。いっぽうのリード国も積極的に発言しているが、その中でもメキシコは発言を極めて短くとどめ、議事の進行に協力しているように見える。初日の午前中から前文の検討を始めていることもあり、ここまでの検討のペースは7月7日の条約の採択へ向け順調に思える。

ある国から第1条が最も重要な条文であるという発言があり、どの国も第1条について議論を尽くそうという姿勢が見られた。しかし重要な威嚇の禁止、投資の禁止、実験の禁止などで意見の相違が見られる。遺恨を残さないよう徹底的に議論することによって条約採択の後に順調に批准が行われ、発効し、引き続き大多数の国が批准し、国際規範として機能することを期待したい。

(注)席を外していて網羅していない点があります。また細部の表現に正確でない面がある場合にはご容赦ください。Reaching Critical WillのNuclear Ban Daily も参照しています。

(ピースデポ 山口大輔)

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