NPTウィーン報告①NGO発言―朝鮮半島:危機から対話・軍縮へ


5月2日(火)から12日(金)にかけて、2020年核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会がオーストリアのウィーンで開かれています。会議の様子は長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)のブログで紹介されているほか、会議の文書は国連のウェブサイトやNGO「リーチング・クリティカル・ウィル」のサイトにも掲載されています(英語)。ここでは、核兵器廃絶日本NGO連絡会に参加するNGOメンバーによる報告を随時掲載していきます。第一報は、初日と2日目の様子について、ピースデポの山口大輔さんからの報告です。山口さんは、2日目のNGO発言の枠の中で「北東アジアにおける核の脅威低減と軍縮」というテーマで発言されました。

NPT準備委員会(ウィーン)報告 第1日、第2日

(第1日)
5月2日(火)午前10時、2020年核不拡散条約再検討会議第1回準備委員会の全体会が時間通りに開会された。議場には座席が足りず、立ち見の参加者も大勢みられる。日本人にとっては残念なことに昨日就任した中満泉国連軍縮上級代表の到着は来週になることが告げられた。

議長から開会の辞が述べられる。NPTは国家の憲法と同様に継続的なメンテナンスと強化が必要である、我々外交官は(交渉の)障害物を乗り越えねばならない、違いを強調するのではなく達成するべき目標に向かって参考となる過去の1995年、2000年、2010年NPT会議の合意がある、等々が述べられた。


来年の第2会期の議長は在ウィーン・ポーランド大使、場所はジュネーブ、期間は4月23日から5月4日であることが告げられた。今回の会議には48のNGOが参加していることも発表された。

続いて一般討議に入る。ここであらかじめ74の代表団からの発言があることが述べられた。トップバッターは日本の岸田外相である。発言の内容はこれまで日本政府から述べられた内容と同じで新しい内容はなかった。新たに具体的な3つの取り組みが示された。

1.年内に核軍縮有識者賢人会議を開き、その結果を来年の準備委員会に報告する、
2.年内にCTBT発効促進アジア太平洋極東地域会合を開催する、
3.被爆の実相を広げるため、ユース非核特使とCTBTユースグループの連携を図る。国外から1,000名を広島・長崎に招く。

引き続いて各国の大使が発言してゆく。北朝鮮情勢と核兵器禁止条約交渉についてどのように語られるか特に注意深く聞いていた。北朝鮮の核・ミサイル実験を非難するのは当然だが、そこから先に一歩を踏み出さない発言が大半であることが残念だった。この日少しでも対話を呼びかけていたのは発言順にオランダ、スロベニア、アイルランドだけであった。なおアメリカが北朝鮮問題はこの準備委員会で中心的課題(central issue)とされるべきだと述べたのが興味深い。

核兵器禁止条約については各国ともこれまでの立場を繰り返していた。

また、核の平和利用がNPTの3本柱の一つであることからして当然なのかもしれないがほぼすべての国、とりわけ開発途上国は核エネルギーの擁護一辺倒で安全性や核兵器拡散の危険性について語られることがほとんどないことに強い違和感を感じた。

左から2人目がHenk Cor Van der Kwast議長(オランダ)

(第2日)
午前中は引き続き一般討議が行われた。この日も北朝鮮に対話を呼びかけたのは発言順にスイス、タイ、イギリスのみであった。イランやシリアなどからNPT体制や核兵器国への批判もみられた。

午後はNGOの発言のために時間が取られていた。この時点で74代表中の51代表が発言を終えており、残りの23代表はNGO発言の後に一般討議(声明の読み上げ)をすることになった。そのため23の代表が議場に残っておりNGOの発言を聞いていたことになる。19のNGOが発言した。

初めに被団協の児玉さん、続いて平和首長会議から小溝さん、田上・長崎市長、原水協から土田さん、創価学会インターナショナルから河合さんと最初の5名が日本からの参加者だった。

一般討論での核兵器国と核兵器依存国の発言が核抑止ドクトリンから出ており、人の命の重さなどないかのように語られるのが空疎であった一方、NGO勢の発言は非人道的体験・影響やNPT体制を支持しながらも核兵器国のみが核兵器を持つことを許されている矛盾への疑問、核軍縮が進んでいないことへの怒りから出た力強いものであった。

とりわけ被爆者である児玉さんの体験には私は胸が熱くなり、この後、冷静に発言できるか心配になったほどであった。

私の北東アジア非核兵器地帯に関する発言も米韓日の核抑止政策を強く批判するものであり、場内がざわつくのを感じた。

3日目以降、議論は不拡散・軍縮・安全保障や保障制度、非核兵器地帯といった各論に移っていく。滞在の残り2日間、重要なサイドイベントに参加しながらできる限り議論を見守りたいと思う。

(報告:ピースデポ・山口大輔)

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