ニューヨーク報告① 核兵器禁止条約交渉 被爆者が冒頭発言、日本政府は「不参加」表明

3月27日にニューヨーク国連本部で始まった核兵器禁止条約の交渉会議の様子について、現地で会議に参加している日本のNGOの観点からのレポートをお送りしていきます。まずは第一弾。

核兵器禁止条約交渉会議のオープニングで発言する日本被団協の藤森俊希事務局次長

【会議第1日】
3月27日午前10時15分より、国連総会議場で核兵器禁止条約交渉会議会議が開幕しました。オープニングでは、最初に議長を務めるコスタリカのホワイト大使が挨拶。参加国の信託に応え、対立でなく対話をもって、全力を尽くして任務を全うしたいと述べました。

続いて、マスード・ビン・モメン国連総会議長代理による国連総会議長のメッセージ紹介、キム・ウォンス国連軍縮担当上級代表の挨拶に続いて、ハイレベルセグメントに移りました。

最初にフランシスコ法王のメッセージが紹介され、その中で法王は、「(核兵器禁止は)希望の実践である(an exercise of hope)と述べました。さらに赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁が、ビデオメッセージを寄せました。

さらに広島の被爆者で被団協の藤森俊樹事務局次長が登壇。1歳の時に2キロ余りの場所で母親と共に被爆したが、建物の陰にいたおかげで熱戦と爆風の直撃を免れ奇跡的に助かった体験を語り、あのような悲劇は二度と誰にも繰り返されてはならないと訴え、場内からは大きな拍手が湧き起こりました。(藤森事務局次長のスピーチ全文はこちら

さらにハイレベルセグメントは、参加国による意見表明に移りました。コスタリカ、オーストリア、メキシコなど、この会議で中心的な役割を果たしているコアグループの国々から、声明の発表がありました。

オーストリアの声明は、禁止条約に対する保有国からの懸念に対する回答として、大変に説得力のあるものでした。その一部を紹介します。

(仮訳)もう一つの懸念は、核兵器の禁止が安全保障の程度を減少させうるということだ。ここで明確にしたいことがある。この会議場の中には、国家の安全保障の程度が低下するようなことを望んだり、いかなる人の安全の程度が低下するようなことを望む国は、核保有国であれ非核保有国であれ、一つもないということだ。

実際に、もし核兵器を持つ国が一つも無くなれば、核保有国や核の傘の下にある国を含め、全ての国がより安全になり、その国民も安全になるであろう。

これは議論をすべき重要な点である。明らかなことは、我々の最終的なゴールである核兵器のない世界は、核保有国が参加して初めて達成可能である。なぜなら核保有国だけが核軍縮をできるからだ。我々非保有国は、核軍縮はできない。

原文はこちらからご覧いただけます。

「日本は交渉に参加できない」と表明した高見沢軍縮大使

10番目には、動向が注目されていた日本政府からジュネーブ軍縮会議代表部の高見沢大使が登壇。核兵器保有国や依存国の多くが不参加の状況では、核兵器禁止条約交渉会議には参加が困難との考えを表明しました。

全文はこちらからご覧いただけます。

すでに日本のメディアも様々に報道しています。

NHK http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170328/k10010928241000.html

朝日新聞 http://www.asahi.com/articles/ASK3X1D0NK3WUHBI03G.html

毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20170328/k00/00e/030/172000c

産経新聞 http://www.sankei.com/world/news/170328/wor1703280027-n1.html

中国新聞 http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=329679&comment_sub_id=0&category_id=142

時事通信 http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032800199&g=pol

日本の声明の中に、「誠実」という言葉が出てきます。核不拡散条約(NPT)第6条は、全ての国による核軍縮交渉義務の「誠実」な履行を求めるものと解されています。昨年の国連総会で採択された国連総会決議(A/RES/71/258 )でも述べられているように、今回の核兵器禁止条約交渉会議は、その義務を具体的に履行するものです。

この点に関連して、改めて日本の声明は、以下のように述べています。

Regrettably, given the present circumstances, we must say that it wouldbe difficult for Japan to participate in this Conference in a constructive manner and in good faith.

(仮訳)残念ながら現在の状況下では、日本はこの会議に建設的で誠実に参加することが困難であると言わざるをえない。

日本は、NPTは核不拡散、核軍縮の礎石(コーナーストーン)であるとし、一貫してその遵守を表明してきました。したがって、今回の交渉会議に建設的で「誠実」に参加することが出来ないのであれば、NPTを重視する日本の立場やNPT6条との関係をどのように説明するかが問われることになります。

さらにやや技術的な話になりますが、日本政府の代表が声明で述べた「参加することが困難」という言葉が、この会議の手続き上、何を意味するかは確認の余地があると思いました。

政府代表としてこの会議に参加し発言するためには、国を正式に代表することを示す信任状が必要になります。日本の発言が、この手続きに従って行われたのであれば、会議参加者として発言したことになります。つまり会議には「参加」しているわけで、それにもかかわらず「参加することは困難」ということが、何を意味しているのかということです。

一方で、もし信任状なしで発言が認められたのであれば、その発言は、厳密には会議参加者としての発言ではないことになりましょう。すると、日本はこの会議には参加していなかったことになるのでしょうか。

日本は、今回の会議に参加しているのか、そうではないのか。いずれにせよこの点は、交渉会議の信任状委員会による参加国リストで確認することになるのではないかと思います。

こうした技術的な点はともかく、軍縮義務を誠実に履行するための歴史的な取り組みに、どうすれば保有国や依存国を巻き込むことができるのかについて、積極的な議論を展開することこそが、唯一の戦争被爆国として、保有国と非保有国の架け橋を自認する日本のあるべき姿ではないか。会場では、こうした声が聞かれました。

一方で核保有国である米国は、より国連総会議場外で記者会見行い、禁止条約交渉会議に反対する声明を発表しました。ニューヨークタイムズはその模様を報道し、それによれば会見には、アルバニア、英国、フランス、韓国の大使が参加したとされています。日本は参加しておりません。

ニューヨークタイムズ https://www.nytimes.com/2017/03/27/world/americas/un-nuclear-weapons-talks.html?_r=0

CNN http://www.cnn.com/2017/03/27/politics/un-nuclear-ban-boycott/index.html?sr=twCNN032817un-nuclear-ban-boycott0220AMVODtopLink&linkId=35911779

当初、ハイレベルセグメントにおける市民社会の発言は本日に予定されていましたが、28日に延期されました。

【会議第2日】
28日の会議は、午前10時過ぎから会議室4で行われました。前日より続く政府代表によるハイレベルセグメントが終了し、午後12時45分からは、市民社会の発言が行われました。登壇者は、以下の通りとなります。

1. 節子・サーローさん(核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN))
2. スー・ヘーゼルタインさん(オーストラリアの核実験被害者)
3. 土田弥生さん(原水爆禁止日本協議会)
4. ハスミン・ナリオ=ガラセさん(核兵器を憂慮する宗教コミュニティー)
5. セルジオ・ドゥアルテ大使(パグウォッシュ会議)

3月28日、市民社会プレゼンテーションが行われている会議室4

「軍縮に純粋かつ真剣に取り組む代表団の皆さん、核兵器禁止のための交渉から恩恵を受ける将来世代の存在はもとより、広島と長崎からの目撃者たちの不安を感じて欲しいのです」(仮訳)と呼びかけた、被爆者であるサーローさんのスピーチは、大変に感動的でした。

「被爆者は、この禁止条約が世界を変革できるものであり、変革しゆくものであるという点について一点の疑いも抱いていないことを知ってください」(仮訳)という言葉でスピーチが結ばれると、場内はしばし拍手が鳴り止みませんでした。

2014年のスタート以来、創価学会インタナショナル(SGI)、パックス・クリスティ・インターナショナル(PCI)、世界教会協議会(WCC)、オランダのパックス(Pax)が中心的な役割を担い5度にわたり発出してきた、核兵器の廃絶を求める宗教間共同声明も、4番目に発表の機会が与えられました。今回は、パックス・クリスティ・フィリピンのハスミン・ナリオ=ガラセさんが、代表して発表しました。

午後3時からは、トピック1、前文の要素に関する一般討議が行われ、午後6時に散会となりました。

(文責:河合 公明(創価学会平和委員会 ))

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