ジュネーブより⑤:「安全保障」と「禁止条約」をめぐる国連作業部会の議論

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ジュネーブから河合公明さん(創価学会)による報告です。

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5月12日の午前10時からは、パネル6「安全保障上の観点からの核兵器の役割と21世紀における他の事柄を見直す」が行われました。ジェームス・カートライト元米国統合参謀本部副議長(グローバルゼロ議長) 、英米安全保障情報評議会(BASIC)のポール・イングラム事務局長が登壇するとともに、壇上には、アメリカの著名な俳優で国連平和大使のマイケル・ダグラス氏の姿もありました。

安全保障問題を正面から扱うセッションであること、カートライト元副議長が登壇することもあってか、議場には前日よりも多くの参加者があったように見受けられました。

カートライト元副議長は、紛争がこの地球上からなくなることは当面考えにくい。地球は幾つかの大きな危機に直面しているが、核兵器を使った紛争はその一つである。環境にも壊滅的な打撃を与える。したがって核兵器をゼロにすることは重要な目標だ。そのためには様々なアプローチがあり、我々はこの会議に集って議論をしている。

核兵器に依存しない安全保障とはどのようなものか。どのような環境でそれは可能になるのかを考えなければならない。地球的な視野で認識と知識を共有し、建設的に広げていく必要がある。今ほど変革を起こすのに良い時はない。リーダシップを発揮し、「今は行動の時である」と言うことができるだろうかと問いかけました。

「変革」に言及したカートライト元副議長の発表に関連して、ツィッター上では、前日に登壇したニック・リッチー博士(ヨーク大学)の「核兵器の禁止はまた、幅広い社会変革という含意を持っている。核兵器の禁止は、国家が、権力と支配という意味において、国際関係でどのように振る舞うかを決定づけることでもある。それは、暴力を通じてなのか協力を通じてなのかという選択に関わることだ」という発言に関心が集まりました。

続いて登壇したイングラム事務局長は、核兵器は何のために用いられるものかをもう一度議論する必要がある。21世紀において、責任ある核保有国とは一体何を意味するのか。責任とは、説明責任であり、地球的な安全保障であり、大胆な削減である、と指摘しました。そして核兵器のない世界を実現するために、その決定権を核保有国に委ねることに疑問を呈しました。

この2つの発表を受け、全体討議となりました。

本日以前に、非保有国より核兵器を禁止する条約について多くの発言がありました。少しそれを振り返ってみます。

オーストリアは、人道誓約に関する作業文書36を紹介。127カ国の共同提案国の名前を全て読み上げ、法的ギャップを埋めるためには、どのようなアプローチであれ、核兵器を法的禁止する必要があると主張しました。

インドネシアは、法的な規制は禁止と廃絶という2つの要素を含まなければならないとし、こうした2つの要素を一つにまとめた条約が難しい場合は、最初のステップとして禁止を要素とする条約という考え方に柔軟に対応すると述べました。また、核保有国を排除してはならないと指摘し核兵器のない世界は国家の強い政治的意思、信頼と柔軟性によってのみ実現できるとしました。

アイルランドは、これまでの議論から、核軍縮を実現するのに必要なメカニズムが現在の法制度に欠落していることが明らかになったと述べました。そうした状況を是正するためには、いかなるアプローチにせよ、核兵器の完全な禁止と廃絶が否定できない共通目標である。勇気あるリーダーシップと真のビジョンが示される時だと述べました。

本日は、非核保有国だけでなく核依存国からも活発に発言があったように思います。

ベルギーは、軍事同盟は安全保障上本質的な意味を持っている。核兵器がいかなる状況のもとでも決して使われるべきではないという立場をとることは出来ない。禁止条約は、北大西洋条約機構(NATO)の政策と両立するものではないと述べました。

カナダは、多くの国から支持される立場ではないかもしれないが、核兵器は安全保障に役立つものであると述べました。そして禁止条約は効果的ではなく、核保有国の緊張を和らげるのに役立たないと述べ、それは核不拡散条約(NPT)を損なう恐れがあると指摘しました。

午後3時から、午後の全体討議となりました。

ハンガリーは、早道(Fast track approach)は魅力的かもしれないが、より確実で長続きする結果を生み出すのは、ブロック積み上げアプローチだと述べました。

日本は、安全保障には「集団的な安全保障」と「一国の安全保障」という2つの考え方がある。北東アジアの厳しい安全保障環境を無視することはできない。地域問題が地球的な核軍縮の障害となっている。それぞれの地域問題に取り組む努力が、核兵器への動機を削減し、核軍縮につながると述べました。オーストラリアも地域問題の重要性を指摘する発言を行い、韓国も、核兵器のない世界はには核保有国の関与が不可欠である。安全保障上の懸念に十分な注意が払われなければならない、と述べました。

日本原水爆被害者団体協議会(被団協)も発言し、核兵器の禁止と廃絶をを求める署名を4月下旬に立ち上げたことを紹介。これは、被爆者としては初めて独自に立ち上げる署名運動として開始されたものです。

また昨年8月に広島で行われた世界青年サミットが母体となって生まれた青年の核兵器廃絶ネットワークであるアンプリファイも発言。若者たちが、平和と安全保障の分野でのその声が十分代表されていないことを指摘しつつ、核軍縮に関する多国間交渉が持続的なものになるためには、青年が関わることが必要であると述べました。

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