[寄稿] プルトニウムと核拡散リスク (鈴木達治郎)

「原子炉級プルトニウムで核兵器を作ることができるのか」という議論に関連して、前・内閣府原子力委員会委員長代理で現・長崎大学核兵器廃絶研究センター長の鈴木達治郎さんが、このNGO連絡会のウェブサイトに向けに以下の通り寄稿をしてくれましたので、掲載します。
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プルトニウムと核拡散リスク
-原子炉級プルトニウムを巡る議論-

鈴木達治郎*

ウランを燃料とする原子炉では、その使用済燃料に必ずプルトニウムが含まれ、それを再処理・回収して高速増殖炉(または軽水炉)で利用する「核燃料サイクル」の主要燃料としても利用することができる。一方、プルトニウムは長崎に落とされた原爆で利用されて以来、核兵器の主要な材料としても使われてきており、核兵器に直接利用可能な核物質として、高濃縮ウラン(ウラン235が20%以上のウラン)と同様、厳しい国産規制下に置かれている。

しかし、通常核兵器に使われるプルトニウムは、核分裂性プルトニウム同位体Pu239の比率が約90%程度以上の純度の高いものであり、これを「兵器級プルトニウム」と呼び、通常の原子力発電所からの使用済燃料から回収されるプルトニウムはPu239の比率が約50~60%程度の純度が低いものであるので「原子炉級プルトニウム」と呼び、区別することがある。この原子炉級プルトニウムは「核兵器利用に適さない(すぐには利用できない)」と主張する意見がある。さらに、このプルトニウムを混合酸化物(MOX)に加工した物質や燃料も同様に「核兵器利用に適さない」とか「核拡散抵抗性が高い」という主張をする意見もある。

これらの主張が正しければ、厳しい国際規制下に置かれる必要はないはずだが、実際にはそうなっていないし、上記の主張をする人たちも「規制を変えるべき」とする意見はほとんどない。その矛盾について、簡単に整理してみた。

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