日本決議案に対する被爆者・若者のコメント

本年の国連総会第一委員会において、日本政府は米国などとともに核兵器廃絶決議案(A/C.1/77/L.61)を共同提出した。核兵器廃絶日本NGO連絡会は、先にその内容に対する声明を発表したが、今回は提出された決議案に対する被爆者と若者の声を紹介する。

田中熙巳(日本被団協 共同代表委員)   

日本国の決議案が採択された。賛成は139か国で、昨年より13か国少なくなっている。アメリカや英国などを含む西欧諸国は賛成しているが、中国と北朝鮮、ロシアは昨年同様反対しており、昨年棄権した南アフリカが反対に回っている。南アフリカとマレーシアは、採決の前に反対や不満の意見を述べている。今日もなお混沌としているロシアとウクライナの戦況の中で、唯一の戦争被爆国である日本の役割への期待に対する失望があったのかもしれない。

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あらゆる核兵器使用の威嚇を非難する――13カ国の国会議員による公開書簡

ロシアが核兵器使用の威嚇を強める中、これを非難し、こうした核兵器による脅しの言動を「当たり前」のことにしてはいけないと、13カ国42名の国会議員が共同書簡を発表しました。2022年11月4日、英語原文がEuracvtiv にて発表(https://www.euractiv.com/section/defence-and-security/opinion/we-must-condemn-any-and-all-threats-to-use-nuclear-weapons/)されたものの日本語訳を以下に紹介します。

あらゆる核兵器使用の威嚇を非難する
We must condemn any and all threat to use nuclear weapons

私たち13カ国の国会議員は、先日のロシアによる「わが国の領土の一体性が脅かされた場合には、ロシアとロシア国民を守るために」核兵器を使用するという威嚇に恐れを抱き、また、愕然としています。

ロシアはこれまでもウクライナにおける紛争に介入する者があればそれに対して核兵器を使用するとの威嚇をしてきました。しかし、今回の威嚇は格段に具体的なものです。現在支配下に置いている地域を不法に併合しようとしているロシアの企てとも併せて考えると、これはとりわけ憂慮すべきです。私たちはこの核兵器使用の威嚇を非難し、ロシア政府に対してこの威嚇を直ちに撤回するよう求めます。

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核兵器禁止条約に関する国連総会決議と規範形成

 

 2022年10月28日から国連総会の第1委員会で核軍縮に関する諸決議の採択が始まった。国連総会には主要な委員会が6つあるが、第1委員会は軍縮や安全保障を扱う下部機関であって、ここで採択された決議は、総会本会議に送られ、例年12月初旬の本会議による採択を経て正式な国連総会の決議となる。総会の決議に法的拘束力はないが、世界の193の加盟国が集い「人類の議会」とも称される場における決議は、政治的な重みを持つし、特に決議の提案国や賛成国にとっては、その内容はその国にとっての国際公約と言えるものとなる。

 今年8月のNPT再検討会議の議長最終文書案(NPT/CONF.2020/WP.77)は、ロシアによる反対のためコンセンサスによる採択ができなかったが、同国が反対した箇所を除いては、NPT締約国の間にコンセンサスが存在していた可能性があった。日本が第1委員会に提出した今回の決議案(A/C.1/77/L.61)は、8月の最終文書案の内容のいくつかを確認するものとなっており、NPT再検討会議におけるコンセンサスの有無を確認する側面がある。

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日本提出の核廃絶国連決議案に関する核兵器廃絶日本NGO連絡会の声明

 日本政府が今年の国連総会第一委員会に米国などとともに共同提出した核兵器廃絶決議案(A/C.1/77/L.61)は、日本主導の決議案としては初めて、核兵器禁止条約に言及するものとなった。
 2017年に国連で核兵器禁止条約が採択されて以来、私たちは日本政府に対してこの条約の意義を認め、条約に署名・批准することを求めてきた。しかし、政府はこれに背を向け続けてきた。こうした中、核兵器禁止条約を「核兵器のない世界への出口といえる重要な条約」と評価する岸田文雄首相の下で、今回初めて同条約への言及がなされたことを、私たちは率直に評価したい。
 決議案は、この条約の採択を「認識」し、その発効や第一回締約国会議の開催に「留意」するとしている。先の核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書案の表現をほぼ踏襲したものである。言及が事実関係に留まり、この条約の意義を評価する表現が盛り込まれたなかったことは、残念である。
 決議案はまた、前述のNPT最終文書案を踏襲する形で、冷戦期以来の核使用の危険の高まりを憂慮し、核兵器のもたらす壊滅的な人道上の結末を深く憂慮し、核兵器の非人道性の認識が核軍縮努力の基礎になるべきだとし、被爆地訪問や被爆者との交流を含む軍縮教育の促進を求めている。これらは、私たちが日本政府に10月6日に提出した要請内容を反映したものとなっており、評価したい。
 一方で、この決議案には、核兵器の先制不使用や役割低減に関する記述がない。核兵器に依存する政策をとる国々がまず取り組むべきこうした課題が無視されたことは遺憾である。日本政府には、自らが核兵器への依存から脱却することを含め、核兵器廃絶に一層努力することを求めたい。政府にはまた、核兵器禁止条約の促進を訴える国連決議案(A/C.1/77/L.17)に賛成投票すること、あるいは少なくとも反対投票はしないことを、改めて求める。

2022年10月28日

核兵器廃絶日本NGO連絡会
共同代表
足立修一 (核兵器廃絶をめざすヒロシマの会代表)
伊藤和子 (ヒューマンライツ・ナウ副理事長)
大久保賢一 (日本反核法律家協会会長)
川崎哲 (ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員)
田中煕巳 (日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
朝長万左男 (核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員長)

お問合せ:nuclear.abolition.japan (a) gmail.com

「国連総会第一委員会などに向けた日本政府とNGO市民社会との意見交換会」レポート

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現在、ニューヨーク国連本部では国連総会が開催されています。さらに11月には国際賢人会議、明年5月にはG7広島サミットの開催が予定されています。この機会を捉え、核兵器廃絶日本NGO連絡会は、10月6日、外務省との意見交換会をもち、要請書を提出。その後、記者会見を行いました。午前10時から65分にわたり行われた意見交換会には、外務省から伊藤茂樹・軍縮科学部審議官、市民社会から9団体11名が参加しました(参加者リストはこちら)。以下、概要をレポートします。【文責:河合公明 / 遠藤あかり(核兵器廃絶日本NGO連絡会)】

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国連総会第一委員会などに向けた日本政府への要請と記者会見のお知らせ

 現在、ニューヨーク国連本部では国連総会が開催されています。さらに11月には国際賢人会議、明年5月にはG7広島サミットの開催が予定されています。この機会を捉え、10月6日(木)、外務省とNGO・市民との意見交換会を開催します。意見交換会の終了後、NGO側から提出した要請書の内容や意見交換会の受け止めについて、核兵器廃絶日本NGO連絡会の共同代表らが質問に応じます。

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開催レポート:9.26「核兵器廃絶のための国際デー記念シンポジウム」核軍縮の進めかた ―NPT、核兵器禁止条約を通じて

シンポジウム参加の皆さん

 9月23日、国連が定める「核兵器全面的廃絶のための国際デー」を記念して、核兵器廃絶日本NGO連絡会の主催、国連広報センターの共催、KNOW NUKES TOKYOの協力によるオンラインシンポジウムが開催されました(配信動画はこちら)。このシンポジウムは、市民社会、国連、政府の3者のパートナーシップによる取り組みとして2015年に開始されて以来、今回で8回目を数えます。

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第10回核不拡散条約再検討会議の「失敗」と課題

 第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議は、実質事項を含む最終文書の採択が期待されていたが、実質事項のコンセンサス採択の「失敗」という結果で、2022年8月26日に閉幕した。NPTの再検討会議は「前文の目的の実現及びこの条約の規定の遵守を確保するようにこの条約の運用を検討するため」(条約8条3項)条約発効後5年ごとに開催され、締約国の具体的行動についての合意を示す実質事項のコンセンサス採択が重視されてきた。もっとも全ての会議で実質事項が採択されたわけではなく、前回(2015年)の会議でも実質事項につきコンセンサスは成立しなかったから、2015年の第9回と2022年の第10回、2回続けてNPT再検討会議は「失敗」したことになる。

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【声明】NPTが停滞しても、私たちは前進する

このたびのNPT再検討会議の結果を受けて、核兵器廃絶日本NGO連絡会は本日8月29日、以下の声明を発表しました(PDF版はこちら。英語版はこちら(English here))。これを踏まえて、本日13時から記者会見を行います

(写真:2022年8月5日、NPT再検討会議でNGOとして発言する日本被団協の和田征子事務局次長)

NPTが停滞しても、私たちは前進する
――再検討会議の決裂を受けた核兵器廃絶日本NGO連絡会の声明ーー
2022年8月29日

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